利用者さまの一番近くで日々関わるわたしたちは、直接たくさんの“こうありたい”の声を聞くことができます。その方の生きてこられた時代背景、生活へのこだわり、価値観などを、日々の関わりやコミュニケーションの中から知り、ご本人が何を望まれているのかを汲み取って、すべてのスタッフが一つのチームとして連携しながら、その希望を実現するために支援を行う…。利用者さまに寄り添い、心が通った時の嬉しい気持ちも大きなやりがいの一つです。
利用者さまの中には、ケアが行き届かずお詫びを申し上げると「気にしなくていいよ」とおっしゃられたり、排泄ケアの際にも「ごめんなさい、大変な思いをさせて」と申し訳なさそうにおっしゃる、礼儀正しく謙虚な方が多くいらっしゃいます。
高齢者の方々は、長い人生の中で、皆さん様々な経験をされています。結婚・出産・子育ての喜びや悩み、嫁姑問題・離婚・死別・仕事での成功や失敗、お金の苦労、親の介護や死、自分の病気や老い…。そんな様々な経験を乗り越えて今に至っているからこそ、小さなことでは動じないおおらかさ、礼儀正しい謙虚さをお持ちになっていらしゃるのだと思います。そんな人生の大先輩の心に触れることは、他の仕事では決して味わえない大切な学びとなります。
桜の里のスタッフは、出会えた『ご縁』に感謝しながら、ご高齢の方々と接する喜びを知る素晴らしい者ばかりです。皆さんもこの喜びの瞬間をわたしたちと一緒に味わってほしいと思います。
桜の里では、介護スタッフとして、積極的に海外技能実習生の受け入れを行っています。日本の少子高齢化は歯止めがかからず、労働者人口は減っていくばかりなのが実情です。『外国人労働者=安価な労働力』と捉えていた時代は終わり、海外研修生の受け入れは、向上心の高い意欲のある優秀な人材確保の手段の一つとして、介護の業界でもとても注目されています。日本とは異なる文化や国民性が背景にあれば、日本人とはまったく違う発想やアイデアが生まれます。それは、わたしたち日本人スタッフにとっても強烈な刺激となりますし、マンネリ化していた施設内の停滞ムードを吹き飛ばし、スタッフの働く意識の向上にも役立つと期待しています。
しかし、異文化に対する理解と配慮が必要になります。日本人同士であれば「わざわざ口にしなくても」「空気を読む」という調子で意思の疎通が図れるとしても、外国人が相手ではそうはいきません。はっきり正確に伝えなければ、コミュニケーションが成り立たないケースもあります。こうした文化交流は、一過性の楽しいものではなく、摩擦による不快感も生み出しかねない、忍耐を要するものです。持続的なコミュニケーションを続ける中で、互いを理解する関係性が次の段階に達した時、かけがいのない何かが生まれると考えます。大きな目標に向かって一歩進んでいきましょう。
日本で研修を終えた海外の研修生たちが、その後帰国し、今度は自国の介護業界の指導者として活躍できることを期待しています。さらには、再度来日し、桜の里のスタッフとして日本に定住していただき、桜の里の“仲間”として“家族”として、一緒に働いていけたら素晴らしいと思います。